名所を極上たらしめる静寂

町内で最も広いエリアを持つ生実(いくみ)地区。日本一の長さを誇る未舗装道「剣山スーパー林道」の入口が開き、オフローダーやもみじ狩り客を誘います。酷暑の夏。苔に覆われた山中の一大庭園「山犬嶽」に極上の涼が満ちます。今も現役で耕作されている「樫原の棚田」が三体の月伝説を浮かべて待っています。ちなみに三体の月は上勝町のシンボルマークとして様々な場面で登場し、 “ツキを呼ぶ印”として町民みんなに愛されています。そして勝浦川の源流を懐深く宿し、守ってもいます。知る人ぞ知る数々の名所がひしめく生実地区。ここを旅して、時間が余ることはありません。にもかかわらず、いわゆる喧噪は一切ありません。「知る人ぞ知る」は、つまり「知られざる」に通じています。名所を極上たらしめるのは「静寂」の一振り。いい按配に味付けして、旅人に供する。生実流のおもてなしをご堪能あれ。