山あいに愛着の霧がわく
2月 26, 2019
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「ああ、そりゃ旭のひとやね」「それやったら生実が詳しいわ」。
上勝町は5つの地区からなります。
すなわち旭、生実(いくみ)、福原、榜示、正木。町民はわずか1500人あまり。
山深くこぢんまりとした町ですが、地域色はときどきハッキリしています。
移ろいを拒んでいるのではなくて、ふるさとに向けた愛着が根深いからなのでしょう。森を、暮らしを、隣人を、わがこととして思う。みんなそんなふうに生きています。隣町からトンネルを抜けてすぐの正木には町役場があります。信号も一つあります。立体交差や選果場なんかもあります。
町の玄関に地平線はありませんが、山並みがあります。狭いけれど高い空を伺えます。しんとして物音は余り立ちませんが、ひんやり朝霧は、なにかとわいています。遠い昔から、記憶にある限り変わらない朝が、いろんな表情で明けています。