心に染みる物語がある
3月 13, 2019
冷たく澄んだ山水を集める幾筋もの川や谷が、棚田や段々畑や集落の暮らしを潤しながら流れています。山あいに拓かれ受け継がれてきた田んぼの畦は、土地の形状に合わせて丸く立てられています。それほど広くもなくて、田植えの機械は入りづらく、しばしば手作業が行われていたりします。労力は2倍、収穫は半分と言われるくらい手間はかかりますが、それに見合った滋味あふれるおいしいお米が育ちます。たくさんは穫れませんが、家族や親戚や大切な友に送り、それから少しくらいは出荷もできます。
田植えの風景に出会うと、車を止めて、立ち止まって、ときには適当に腰を下ろして、ぼんやり眺めてみます。しんと静まりかえっていた風景に、虫の声や風や水の音が乗っかって、あたかも一服の絵画に見えていた光景が、動画であったことに気づきます。長居するほどに、その物語は心に染みて、じんわり癒してくれるのです。
No Comments